トバタスペース アカデミー成果発表会 TOBATA-SPACE ACADEMY の横断幕を広げ、手でSのポーズをとるアカデミー生と審査員の集合写真
第5回 成果発表会 ミッションパッチ
第5回

自分たちの言葉で、宇宙を語る。 — 成果発表会/活動レポート —

2026.10.04 SUN/ウェルとばた 多目的ホール

2026年10月4日、戸畑区の 「文教祭」 が開かれるなか、ウェルとばた の多目的ホールにトバタスペース アカデミー生が集合しました。第5回は、これまでの活動の集大成となる 「成果発表会」。第2回のワークショップで立ち上げた衛星ミッションと宇宙ビジネスのアイデアを、8つのチームがそれぞれ発表しました。会場には、発表者の家族も観覧に訪れていました。

「TOBATA-SPACE ACADEMY 成果発表会 2026.10.4 SUN ウェル戸畑多目的ホール」の投影画面
ホールの客席に座るアカデミー生と来場者

第2回から約3か月。各チームはカリキュラムの外でも互いに連絡を取り合い、TA(ティーチング・アシスタント)のアドバイスを受けながら、リサーチを重ね、スライドをつくり、考えを練り上げてきました。この日は、その積み重ねを 自分たちの言葉で伝える 場です。

審査員は、宇宙博士 こと九州工業大学 特任准教授・前田 恵介 先生と、Kick Space Technologies株式会社 CTO・加藤 勇 氏のお二人。各チームの持ち時間は15分で、発表7分、質疑応答3分のあと、審査員からその場で講評をいただく流れです。

審査員席からマイクを持って講評する審査員

— 8チーム、8通りの「宇宙の使い方」。

取り上げたテーマは、海の環境保全から地雷の撤去、スペースデブリ、火星での発電まで。発表順は次のとおりです。

PRESENTATIONS
1revolutions(C班)海洋環境データの収集・海を守る
2西南(B班)IUU漁業の疑いがある船の検知
3Gグループ(G班)衛星を用いた地雷撤去への貢献
4ユモッティズ(E班)宇宙での発電と地上への送電
5パルサー(H班)宇宙探査を支える新たな動力・送電
6ダイブ イン ザ スペース(D班)スペースデブリの回収・研究
7別班(F班)デブリ回収による衛星開発の促進
8A(A班)SAR衛星による海洋漂流物の把握

スライドは、どのチームも自分たちの手でつくったもの。地雷の撤去から海を守る取り組みまで、衛星の観測データや宇宙の技術を使った、多彩なテーマがそろいました。

前半に発表した4チーム(revolutions・西南・Gグループ・ユモッティズ)の発表スライドから、テーマと解決策がわかる2枚ずつを並べたコラージュ
後半に発表した4チーム(パルサー・ダイブ イン ザ スペース・別班・A)の発表スライドから、テーマと解決策がわかる2枚ずつを並べたコラージュ
演台に並び、マイクを持って発表するユモッティズ(E班)
スライドを映しながら発表するダイブ イン ザ スペース(D班)
スライドを映しながら発表する別班(F班)

大勢の観客を前に、どのチームも緊張した面持ち。それでも、スクリーンと手元の原稿を行き来しながら、精一杯伝えようとする姿がありました。質疑応答では、審査員からの問いに考え込みながらも言葉を探す場面も。調べて、考えて、まとめてきたことを、自分たちの言葉で届けようとする姿が印象的でした。

— 前田賞は西南(B班)、加藤賞はA班に。

8チームすべての発表が終わると、審査員による最終審査を経て、いよいよ結果発表。前田賞 は 西南(B班)、加藤賞 は A班 が受賞しました。

— 前田賞 西南(B班):海の不正を、宇宙から見張る。

2番目に登壇した西南(B班)が取り上げたのは、IUU漁業――違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)で行われる漁業です。ルールを守る漁業者が不利益を受け、水産資源にも影響が出る一方で、広大な海を巡回船だけで見張りきるのは不可能です。そこで、人工衛星がとらえた船の電波や位置情報(AIS)をAIで分析し、IUU漁業の可能性が高い海域を リスクマップ としてリアルタイムに示す仕組みを提案しました。

演台で発表する西南(B班)の発表者
西南(B班)のスライド「リスクマップのイメージ」。IUU漁業の可能性が高いエリアを色分けした海図

表彰では、前田先生から賞が手渡されました。

前田恵介先生から前田賞を受け取る西南(B班)の発表者

— 加藤賞 A班:漂流物を、漂っているうちに見つける。

最後の8番目に登壇したA班の出発点は、石川県に漂着した 300トン級の巨大なホース。撤去には約5,000万円がかかったといいます。漂流物は、海の上では船との衝突事故を、海岸では回収の大きな負担を生みます。そこで、雲や夜間でも海面を観測できる SAR衛星(電波で観測するレーダー衛星)の画像と、船が発信する位置情報(AIS)を照らし合わせ、AISを出していない=船ではない「漂流物」だけを見つけ出す仕組みを提案しました。漂着してから対処するのではなく、漂っている段階で見つけ出す――そんな「宇宙の目」の使い方です。

スライド「私たちが注目した課題」を映しながら発表するA班の発表者
A班のスライド「AIを活用した『漂流物』と『船』の自動識別」

表彰では、加藤氏から賞が手渡されました。

加藤勇氏から加藤賞を受け取るA班の発表者

5月の入学式から約5か月。講義を聞き、ロケットを飛ばし、ミッションを考え、缶サットをつくり、衛星の試験を見てきたアカデミー生たちが、今度は自分たちで考えた「宇宙の使い方」を、自分たちの言葉で語りました。最後は横断幕の前で集合写真。緊張から解き放たれた笑顔がそろいました。アカデミーも、残すは12月の修了式です。

TOBATA-SPACE ACADEMY の横断幕を広げ、手でSのポーズをとるアカデミー生と審査員の集合写真