2026年5月23日、九州工業大学・未来テラスに、戸畑区とその周辺から集まった高校生が顔をそろえました。本日からおよそ半年にわたって続く「トバタスペース アカデミー」の入学式です。
開会のあいさつは、主催である北九州市戸畑区役所より田中友樹 戦略担当課長が登壇。「自ら学び、創り出す、超・実践型の宇宙プログラム」がいよいよ幕を開けることが告げられ、会場には少しの緊張と、これから始まる時間への期待が感じられました。
最初のプログラムは、アカデミー長・布施哲人先生(九州工業大学 特任准教授/株式会社 Kyutech Space Solution For Emergings CEO)による特別講義「宇宙開発の最前線」。宇宙の大きさを体感する映像から始まり、ロケットや人工衛星、リモートセンシング、宇宙旅行まで、いま宇宙でなにが起きているのか、その全体像が示されました。
布施先生は「国際宇宙ステーションができると最初に聞いたときは、正直できないと思いました」と笑いながら、それでも実現してしまった人類のすごさを語ります。さらに、ご自身が国語の得意な生徒だったこと、それでも進路の選択肢を広げるために理系へ進んだことなど、高校生のいまにつながるエピソードも惜しみなく共有してくださいました。「このアカデミーでは宇宙に限らず、あなたの『好き』を、宇宙をきっかけ覚醒させてほしい。」との話も。
講義の途中で布施先生からの一声で、教室は一気にアイスブレイクの時間へ。「自己紹介」「自分の好きなもの」「宇宙のイメージ」をお題に、初対面の高校生どうしが机を囲んでトークしました。最初はぎこちなかったテーブルも、すぐに打ち解けたようでした。
会場の入口には大きな 横断幕 が掲げられ、生徒たちは自分の「好き」を付箋に書いて貼っていきます。アニメ、音楽、ゲーム、中には「菌類」なんてことばも――。宇宙とは関係なさそうに見えても、それぞれの「好き」が宇宙にどうつながるのか。この日できたチームが、これから簡易ロケット製作、ミッション立案、缶サット製作、成果発表までを一緒に駆け抜ける本アカデミーのベースになります。
休憩をはさんで登場したのは、特別講師の倉原直美さん。九州工業大学の卒業生であり、現在は世界を相手に宇宙ビジネスを展開する起業家で、株式会社インフォステラの創業者 兼 CEO、内閣府 宇宙政策委員会の委員もつとめています。テーマは「日本の宇宙ビジネスを世界へ」。
倉原さんが代表を務める同社は、地球を周回する小型衛星が地上と通信するための「地上局」を、世界中でシェアして使える仕組み「StellarStation」を提供しています。あわせて、北海道大樹町に米国の主要宇宙事業者3社が運用するアンテナサイトをホスティングしているなど、まさに日本の宇宙インフラを世界に届ける挑戦が進んでいます。
講義では、自社で世界中に地上局ネットワークを構築することの難しさ(1基あたり1〜3億円の投資、直径5〜10メートルのアンテナを設置できる土地、地権者との交渉……)が語られ、だからこそ「シェアする」発想が世界の宇宙開発を加速させるという話に、高校生たちも引き込まれた様子でした。
講演の中で、倉原さんは高校生たちに4つの心構えを伝えてくれました。それは「あきらめないこと」「考え続けること」「試し続けること」「自分だけでなく、周りを動かす努力」――。ゼロから宇宙ビジネスを切り開いてきた人の言葉は、きっと生徒たちの心にまっすぐ届いたことだと思います。
講義のあとには、質疑応答の時間が設けられました。マイクを受け取った高校生からは、率直で正面からの問いが続き、活気ある質疑応答となりました。
記念撮影では、アカデミー オリジナルのネイビーTシャツを着用。「TOBATA-SPACE ACADEMY」の「S」のポーズで全員集合の1枚を撮影しました(このページ冒頭の写真がそれです)。プログラム終了後も、会場後方に並べられた キューブサット(超小型人工衛星)の模型 について、九州工業大学の大学生に質問する生徒もいるなど、最後まで活気のあるプログラムとなりました。
会場は、九州工業大学 戸畑キャンパス内の「未来テラス」。